実践・考察

「こどもたちが、自ら見つけ、考え、遊ぶ、余白のある環境」 をテーマに、
こどもたちを取り巻くヒト・モノ・コトの環境について研究、考察します。

風土がもたらす豊かな何か

今回は福島県は二本松市の保育園さんにてワークショップ。

楽しい一日となりました。
中でも、今回は風土と人の温もりといいますか、

そんな何かをたくさんいただいたように思うので、その様子を少しリポートです。

 

福島駅での待ち合わせ。
迎えにきてくださった、代理店の社長さんがなんともステキなおっちゃんでした。

 

園に向かう道中のおしゃべりで、
今も仕事が楽しくてしょうがないというおっちゃんに年齢をうかがうと今年68歳だそうで。
全然そんな風には見えず、僕が驚いていると、

 

なーに驚いてんですか、矢生さん!
68歳なんて、まだまだガキですよ。
死ぬまでガキなのかもしれませんし。
ははは。

 

穏やかな物腰のおっちゃんは、人の目をしっかりみて話したり、聞いたり、そしてその度に、ニカッと笑う人でした。

 

保育園に到着したあと今度は、ホールにてワークショップの準備中のこと。
一人のお母さんが、お昼寝のおふとんのシーツを取り替えにきました。
「昨日のお昼寝でおもらししちゃって。すいません。」
少し恥ずかしそうに話してくれるお母さんに、すかさずおっちゃんが言いました。

 

「だーいじょうぶですよ、お母さん。夢の中ではちゃんとトイレでしてんだから!」

 

それを聞いてお母さんも、近くにいた先生も、僕も大笑い。

 

たしかにそうです。
僕も何回か経験ありますが、どれも夢の中ではちゃんとトイレとか原っぱとか、

この場所ならいいだろうと思ってやっていました。(あくまで夢の中ですが)

 

おっちゃんの自然体なやりとりに、お母さんや先生たちがホッと安心するのが伝わってきます。
これは、おっちゃん、仕事が楽しくてたまらないわけですね。

 

そんなコーディネーターさんがいて、子どものおもらしを一緒に笑い飛ばしてくれる先生たちがいて、

いざ子どもたちとのワークショップ。
盛り上がらないわけがありません。

 

子どもたちもなんとも優しく穏やかで。
ワークショップのあと、ある子が僕にいいました。

 

ひでちゃん、ぼくトミカいっぱいもってるんだよ。

 

それはいいなー。というと、

 

お礼に一台あげるよ。
今日、保育園のあと、うちにおいでよ。
と素敵なお誘い。
その気持ちだけでも十二分に嬉しいことで。

 

大人も、子どもも、とにかく穏やかで、優しくて、焦っていなくて、信じていて、

それでいて、子どもたちが作るアイデアの想像はどこまでも止まりませんでした。

 

というよりも、穏やかで、焦ってなくて、信じられてるからこそ、子どもたちの想像は広がり続けるのでしょうね。

 

そんな楽しい出会いを思い出しながら駅に向かう帰りの車。

窓から見える風景ののどかさにあらためて気づきました。

 

建物と建物の距離がものすごく離れていて、空と山の木々と田畑の土の色が柔らか。

もう、これだけで人が作り出す雰囲気には大きな影響があるような気がしました。

 

風土がもたらす人の豊かさというのでしょうか、なんだか保育の理論とか方法とか

もっとそれ以前にある大切な何かがあったような気がします。

 

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