実践・考察

「こどもたちが、自ら見つけ、考え、遊ぶ、余白のある環境」 をテーマに、
こどもたちを取り巻くヒト・モノ・コトの環境について研究、考察します。

〜歳児や学年、発達障害といったラベルによって考えることをやめない

最近は報告が中心でしたが、久しぶりに感じたことを。

先日、とある園で子どもたちとのワークショップをはじめる前、先生が言いました。

 

「今年のクラスはとてもヤンチャなクラスでして。発達障害の子も数人いるので、

うるさくてご迷惑をかけてしまうかもしれません。」

 

たしかに子どもたちには、全体的に落ち着きがない雰囲気がありました。

自己紹介をはじめても、みんなワイワイ、ザワザワ。
なので、そこから、少しだけいつもと伝え方を変えました。

 

すると、
みんな一斉に静かになりました。

 

「静かにしてください」

 

とは言いません。
怖い顔もしないし、大きな声もだしません。

 

子どもたちは、話を聞きたいと思えば、自分で静かにしますから。

 

自分が聞きたいと思っていないのに、静かにさせられるのは、ただの我慢です。

 

そうではなく、聞きたいと思ってもらえるように、こっちがほんの少し工夫をする。

 

僕はこの人たちより何十年も先輩ですから。

 

そこから一時間半、みんな思い思いの工作を満喫して、むしろ「まだ足りない!ご飯のあともやろう!明日もやろう!」と大盛り上がりで、ワークショップは終了しました。

ワークショップのあと、コーディネーターさんが園長に聞きました。

 

「どの子が、発達障害だったんですか?わたしにはわからなくて。」

みんな集中していたからでした。

 

「ほんとですね。今日はみんな集中していましたね。」

先生はただ驚くばかりの様子だったので、僕はみんなが話を聞きたいと思ってくれるように心がけたポイントを伝えさせてもらいました。

 

発達障害の幅はとても広いし、それぞれの不得意によって、色々大変なこともあるでしょう。

そして、それを発達障害として周囲が理解することで、周りも受け入れられたりサポートしやすくなったりして、何より本人にとって生活しやすくなるという面があるのもたしかだと思います。

 

でも、例えば園や学校のクラスの中で、発達障害といわれる子どもに対して、

発達障害を前提にして関わり方を考える前に、もっとシンプルなスタートがあるように思います。

それは単純に、コミュニケーションをしたいと思って、相手を探ること。

 

この子は発達障害だから、こう言い方をするといいとか、あの方法は伝わるとか、

そういうメソッドのようなことじゃなくて

相手の表情をみて

あれ?わかりにくいかな?

と思ったら、

もっとわかりやすく伝えるのに、どうしたらいいのだろう?

と考えて

言葉をさらにやわらかくしてみたり

フレーズを短く切って強弱をつけてみたり、

身振り手振りを増やしたり、

してみる。

それは、相手に障害があるからじゃなくて、ただ聞いてもらいたいから。

 

園長や担任に

「うちのクラスは発達障害の子が多いので、話を聞けないかもしれないし、やらないかもしれません」
といわれることが、時々あります。

ですが、その中で一度も、障害があるから場が荒れたり、ワークショップにならなかったということはありません。

と、振り返っていて、もう一つ、これに似ていて、よく聞く言い方を思い出しました。

「まだ〜歳だから」

という捉え方。

まだ一歳なので

まだ二歳なので

まだ年少なので

まだ就学前なので

など。

そのあとに決まって

「だから、できないかもしれません。」

という。

でも実際、子どもたちとのワークショップや親子講座で遊びをやってみると、そんなことは全然ないんですね。

 

発達の目安や障害を理解すること、それを理解した上で寄り添うことはプラスの面もあるでしょう。

ですが、〜歳児や発達障害というラベルによってその子の天井をこちらが決めてしまわないように

そして、自身の話し方・伝え方の工夫や、環境づくりについて考え続けることを、やめないように

と思いました。

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