実践・考察

「こどもたちが、自ら見つけ、考え、遊ぶ、余白のある環境」 をテーマに、
こどもたちを取り巻くヒト・モノ・コトの環境について研究、考察します。

赤ちゃんは歩けないのではなく、たぶん、歩かない。

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生まれてきたばかりの赤ちゃんを、
「歩けない」
と考えている人はどれくらいいるでしょうか。

 

赤ちゃんはよくいわれます。

 

はいはいをするようになると、
はいはいが「できるようになった。」

 

歩くようになると、
歩くのが「できるようになった。」

 

と。

 

しかし、赤ちゃんは本当に「歩けない」のでしょうか。

赤ちゃんをよ~く見ていると、僕は少しちがうのではいかと思います。

 

赤ちゃんはきっと、

 

歩けないのではなく、

 

歩かないのだと思います。

 

誰でも一度は見たことあるでしょう。

赤ちゃんの眼差しを。

お母さんに抱かれているときも、

ベッドに横になっているときも、

目線は右に、左に、
上に、下に、

時にじっととどまり、
また別の何かへ移す

 

あの真剣な目。

 

一生懸命に世界を捉えようとしているように思えます。

 

赤ちゃん自身、
「そうそう!私は、私なりに初めて見る世界を理解しようとしているんだ!」
なんて答えてくれるわけではありませんが。

 

その一つの証ではないかと思えるのが、

 

人見知り。

 

だいたい六か月頃にはじまるといわれる人見知りは、

赤ちゃんにとって「特別な人」ができたときに、はじまるのだそうです。

 

この世界に生まれて、

約六か月という時間をかけて、

自分の特別な人ができたからこそ、

それ以外の人には緊張するようになる。

 

これって、赤ちゃんがいかに冷静に、
自分の周囲の世界を捉えようとしているかを表している気がしませんか。

 

歩かない話にもどります。

少し、考えてみてください。

もし赤ちゃんが生まれた瞬間から歩けたら、どうなのでしょう。

 

知識も経験もなく、
全く未知の世界にいきなり放りだされ、
かつ、膨大な情報が一気にとびこんできたら、
その情報量の多さに、整理や理解が追い付かず、パンクしてしまうんじゃないかと思います。

 

(余談ですが、これに似ているのが今のネットの情報との付き合い方だと思います。
ネットで情報を取り入れることはたしかに便利です。しかし、ネット上にある情報は、おそらく一人の人間が取り入れて、

整理できるキャパは明らかにうわまわっている。そのキャパを見失い、取り入れられると思い込んだら、疲れてしまうでしょう。)

 

だからまず、
赤ちゃんは、自分が横になって、見える範囲、聞こえる範囲、触れる範囲で、世界を捉えようとする。

 

自分の目の前にはどんな景色があって
自分の近くには誰がいて、
誰が自分と快い時間を過ごしてくれたり、
自分の不快をとりのぞいてくれたり、

 

そんなことを捉えて、自分が生きる上で一番重要な情報を整理する。

 

そうして整理ができたときに、
はじめて体勢をかえ、少し新しい世界を見る。

 

自分の周りにはどんなモノがあって、
どんなことがおきているのか

 

そんな情報が集まり整理できると、

 

今度は起き上がり、さらに少し範囲を広げて新しい世界を見る。

 

また整理ができたら、今度は、はいはい。

 

また整理ができたら、今度は歩く。

 

これって、とても合理的な流れだと思います。

 

******

 

赤ちゃんは、生まれながらにして

 

自分の力や、
自分のペースや
自分のキャパや

 

そういうのを自分なりに
というよりも、
生命として本質的にわかっているから、

 

一つ一つ、

 

丁寧に、

 

自分の生まれた、この世界を捉えようとする。

 

だから、

赤ちゃんは歩けないんじゃなくて、

歩かない。

 

***

 

赤ちゃんだけでなく、
子どもの成長は
なにかにつけて、

 

「できる」
「できない」

 

という見方で見られがちです。

 

でも、おそらく、
子どもって、
命って、
もっと賢い。

 

その子が快く生きていくことにとって、
それがアリか、ナシか

 

大人が考える
「できる」「できない」
よりももっと、深いところで
「やる」か「やらない」かの判断をしているのだと思います。

 

****

 

赤ちゃんって、けっこうわかってると思います。

 

小さくて、
未熟で、
まだ何もわかっていない存在

 

なんていう先入観で、

 

その熱い視線に気づかず、

 

スマホでSNSやゲームとにらめっこしてたら、

 

雑な保育をしてたら、

 

もったいないです。

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