実践・考察

「こどもたちが、自ら見つけ、考え、遊ぶ、余白のある環境」 をテーマに、
こどもたちを取り巻くヒト・モノ・コトの環境について研究、考察します。

今という瞬間を放棄するわけがない。

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子ども達と造形活動をしていると、
中には一見、手を動かしてないからという理由で、
「何もしていない」
「わかっていない」
というように見られてしまうということもあるようです。

 

そして、そんな子を前にすると、
周りが活動しているから余計に目立ちやすいというのもあいまって、

 

こちらが何かはたらきかけなきゃって、
不安になる親や保育者も少なくないように思います。

 

でも、僕はそういう場面、
のんびりと、楽しみに、待っていればいいのではと思っています。

 

だって、
子ども達が、何もやっていないわけがないですから。

 

何を描こうか(作ろうか)じっくりと考えていたり、

 

少し慎重に周りの様子を伺っていたり、

 

今日はあんまり気がのらないなぁ。
だって他に気になる事があるんだもの。
今は表現どころじゃないのよ。
なんて言葉にはしないけど、思いふけっていたり、

 

手は動かしていなくとも、自分の今をやっている。

 

ですから、表面的には同じように見えても、
その実、子ども一人ひとりの全然違う姿があるように思います。

 

もちろんその姿の中には、大人の直接的なサポ―トがあることで、
いっそうイキイキ活動する子もいますが。
それだけじゃなくて、色々な姿があるだろうということで、

 

直接大人が関わる以外にも、
色々な距離感、コミュニケーションがあると思っています。

 

***

 

この日もそうでした。
埼玉県内のある保育園にてワークショップのことです。

 

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色紙を切っては色々な形に見立て、料理を作って遊んでいたのですが、

 

一人の女の子は、真剣な面持ちで、何かを考えているようでした。

 

なので、僕と担任は、「今日は少し距離をとってのんびり見てみようよ。」
と言いあって、見守っていました。

 

するとしばらくして、
他の子ども達が自分の作った料理で遊びだし、
自分の周りに他の子も少なった頃、
スッと作りはじめたのでした。

 

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結局、彼女はお昼ご飯のギリギリまで一人で作っていました。

 

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そんな彼女の最初の姿も、

 

もしかしたら、他の子がいる中で自分が表現をすることにどこか不安を感じて、
安心するまでの準備をしていたのかもしれないし、

 

あるいは、はじめは他のことを考えていたけど、
周りの友達が楽しそうに遊んでいる姿を見て、やっぱりやろうと思ったのかもしれないし、

 

あるいは、ただただ、じっくり考えていただけかもしれないし、

 

はたまた、もっと単純に、
私は一人でゆっくり作りたいのよ。と思っていただけかもしれないし、

 

まだまだ想像される理由はたくさんあって、

 

その本心は、彼女にしかわからないことですが、

 

彼女は自分で、今という瞬間の自分の過ごし方を決めて、その連続をめいっぱい満喫していたように思います。

 

帰り際、これまたみんなが僕から離れていった後、手をギュッと、挨拶をしにきてくれました。

 

*****

 

子ども達の様子を、
パッと見の表面的な行動で判断することなく、
もっと丁寧に想像していきたい
(もちろんその想像が、その子の真意とあっているかはわかりませんが)
と思うと同時に、
それ以前に、

 

子どもたちが、
好奇心のかたまりのような人たちが、
何もやっていないわけがない。

 

言い換えると、

 

「今」を放棄するわけがない。

 

そんな風に子ども自身の力を信じるところから、
子ども達の姿を捉えていきたいと思います。

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