実践・考察

「こどもたちが、自ら見つけ、考え、遊ぶ、余白のある環境」 をテーマに、
こどもたちを取り巻くヒト・モノ・コトの環境について研究、考察します。

心配しないで待ってましょ

今月もあっという間に終わり、そして今年も終わりですね。
少し報告空いてしまいましたが、今月も各地保育園やイベントでのワークショップ、

研修、授業と色々楽しい時間を過ごさせてもらいました。


その中から一つだけリポートを。

 

ある園さんで、空き箱を使って家を作っていたときのことです。

 

空箱には興味がいかず、紙を切り続けている子がいました。
本人とても楽しそうだったので、のんびり様子を見ていると、
担任の先生が「箱は?箱は使わないの?」「今日は、箱で家を作るんだよ。」
と矢継ぎ早に迫りました。

 

なので、僕もすかさず
「先生、大丈夫ですよ。ちゃんと自分のタイミングがありますから。
ゆっくり見てましょ。」
と先生の声かけをなだめ、その子にも、

 

「紙はまだまだあるから、自分でやったと思うまでたっぷり切ったらいいよ。」

 

と声をかけました。

 

それからまた数分後、

彼の中で紙を切るのがひと段落したのでしょう。
周りを見わたして、他の子の箱の家づくりが少し進んできた様子を見ると、
自分でも箱を取りに行き、今度は箱を使って工作を始めました。

 

これが大事なんだと思います。
自分のタイミング、自分の判断。

 

先生が迫り続けたら、彼は箱を手にとったでしょうが、それでは本人の想いから始まる表現活動ではなく、

強制された作業になってしまいます。
本人のタイミングでこその表現活動ですからね。

 

またここでもう一つ良いなぁと思ったのは、彼が家づくりにシフトしたきっかけが友達の背中だったということです。
最初は好きな色の紙を自由に切ってハサミをたっぷり満喫することに興味があった。

そして、それが満足したタイミングで、今度は友達の姿に「お、いいね。」とワクワクして、

自分の新たな興味の扉が開いた。

 

集団で育っていく場所の魅力は、こんな風に子ども同士がモデルになれることだと思います。

 

保育者はクラスの主役ではありません。
だから保育の時間のなんでもかんでもが保育者発信、保育者きっかけじゃなくていいんです。
主役はこどもたち一人一人ですから。

 

お部屋の中で、保育者の影は薄く、子ども同士が学びあう。
友達の背中を自分の新たな成長のきっかけにするって素敵じゃないですか。

 

保育者というのは、自分が直接こどもたちに何かをするだけでなく、

間接的に環境を整えるのも大事な仕事なのでしょう。

今年もこどもたちにたくさん教えてもらいました。
ありがとうございました。

 

心配しないで待ってましょ

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