実践・考察

「こどもたちが、自ら見つけ、考え、遊ぶ、余白のある環境」 をテーマに、
こどもたちを取り巻くヒト・モノ・コトの環境について研究、考察します。

個人情報ってなんだろう?

先日イベントで、モンスターづくりのワークショップをしていたときの小学生とのやりとりのこと。

 

その小学生たちは四人組だった。

 

少し緊張している雰囲気があったので、
ほぐれればと雑談もまじえながらはじめてもらった。

 

「いつもはどんな遊びが好きなんですか?」

「サッカー!」
「SWITCH!!(任天堂)」

「給食は何が好きですか?」

「カレー!!!(全員一致)」

 

おしゃべりをしながら和やかになり、みんなの手も動きはじめた。
が、そのとき、衝撃の一言が。

 

一人の男の子が、隣の友達に話しけた。

 

「ねぇ、佐藤くんさ、、」

すると話かけられた方の子が語気を強めて言った。

「おい!本名言うなよ!個人情報だろ!」

「あ、ごめん。」

あやまる友達。

そして、そのまま普通に次の会話がはじまった。

 

ん?
なんだ?
このやりとりは?

 

僕は理解がついていかなくて、思わず、聞いてしまった。

「今の個人情報ってどういうこと?」

「いや、お兄さん、知らない人だからさ。名前を知られたくないなって。」

ああ、なるほど。

まぁ確かに。

「学校で言われてるから。知らない人に教えるなって。」

 

そうか。そうだねぇ。

「そしたら、この工作やらない方がいいんじゃない?」

と言いたくなったが、
代わりに、

 

「まぁあやしい者ではないから、安心してね。」

と言った。

個人情報についてのやりとりはこれで終わり。

その後、四人は思い思いのモンスターを作って、満足そうに帰っていきました。

 

**********

 

そのあと考えていました。

 

なぜこんなにも過剰に、小学4先生の子どもたちは個人情報を意識しないといけないのだろうか。

子どもが個人情報をどうこう言うのは、異常な光景だと思うのは

僕が今の社会感覚からずれているのだろうか。

 

自分の子どもの頃にもたしかにあった。

知らない人にはついていかないように。

というのは。

 

でも、街の中で友達の名前を呼ぶことが個人情報の危険とされるほどではありませんでした。

 

個人情報を守りましょう。

 

これを彼に直接的、あるいは間接的に伝えたのは、
親なのか、
先生なのか、
テレビやネットといったメディアなのか

それはわかりません。

もちろん善意でしょう。

でも、こんなにもこども同士が厳しく意識するほどに、必要なことのでしょうか。

 

そこで僕もあらためて考えてみました。

子どもの本名という個人情報の危険性。

 

確かにネットの時代だから、名前を聞いて、インターネットに検索すれば、色々判別できる時代ではあるでしょう。

トラブルになる可能性も全くないとは言い切れません。

しかし、僕はその可能性より、もっと怖いことがあると思う。

それは、

こども達が、街の中で、知らない人がいたら

友人同士でもお互いの名前を呼ばないような風景です。

 

なんだか星新一さんの書くSF世界みたいですが。

 

子どもの個人情報。

たしかに今の時代、大切なのことだと思います。

 

でも、子どもがそんな心配をしなきゃいけないのは、

 

そして、大人がそういう指導をしなきゃいけないのは、

 

そういう社会があるからなのでしょう。

 

それを作っているのは僕たち大人です。

しっかり考えていかなくてはと思います。

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