実践・考察

「こどもたちが、自ら見つけ、考え、遊ぶ、余白のある環境」 をテーマに、
こどもたちを取り巻くヒト・モノ・コトの環境について研究、考察します。

安心から始まる表現

今日は越谷市保育園で行った親子講座でのことです。
今回のテーマは、

「空き箱と新聞紙で作って 遊ぼう!」

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その中から二人の様子を紹介したいと思います。

 

身体の安心からはじまる

 

一人目は、途中から遅れて参加した女の子。
僕が挨拶をすると、ササッとお母さんの肩に隠れてしまいました。
周りのみんなはすでに集中していて、部屋もシーンとした雰囲気だったので、
中に入ってくるのも緊張したようです。

 

そこで、見知らぬお兄さんが話しかけてきたら、、
びっくりするのもわかる気がしますよね。

 

そこでまずは、彼女に安心してもらいながら、遊びのイメージを膨らませられたらと、
少し離れた場所で、その分身振り手振りを大きくして説明を始めました。
空き箱と色紙を使って、折ったり、貼ったり、描いたり、切ったり、
「どんな物を作っても、どんな風に作ってもいいんだよ。」
ということが、見ているだけでも伝わるように、ゆっくりとやりました。

 

笑顔は見られませんでしたが、緊張からだんだん真剣な表情に変わっていくのがわかります。

説明をおえ、僕が離れると、彼女は早速作りはじめました。

 

そうして、しばらくしてから様子を見に近くにいってみると、
今度はニコッと微笑んで、嬉しそうに作っているお家を見せてくれたのでした。

 

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***

 

僕は、初めて出会う子ども達とは、最初、物理的に距離をとるというのを、大切に考えています。
見知らぬ大人にいきなり目の前まで近づかれたら、大人でも緊張しますもんね。
なので安心してもらうために、少し距離をとります。
子ども達が自分から近づいてきたくなるまで。
しかし、こうした子どもの安心の距離というのは、なかなか無視されてしまいやすいものでもあります。

 

小さい、幼い、かわいい、かよわいなど
大人が子どもに感じる、大人本位の理由で、グングン近づいていく人っています。

 

なぜ、そのようなことができるかというと、
「子どもは自分で人や状況を判断している」
ということを想像していないからではないかなと思います。

 

***

 

子ども達を見ていると、自分なりにしっかりと状況を理解しようとしているのが伝わってきます。
人の表情、人の行動、場の雰囲気といった情報を自分なりに集め、整理して、
自分に危険はなさそうか、この場は面白そうか、を考えているんだと思います。

 

今回の彼女もそう。
周りに人はどんなことをしているか。僕はどんなことをしているか。
自分が使える道具はどれで、自分はどんな風に遊ぼうかを考えて、判断する。

 

その一番最初の判断材料が、ここは自分にとって危なくない場所か。危なくない人たちか、という、からだの安心なのだと思います。

彼女は彼女のペースで、そして彼女のものさしで、この空間や僕の存在に安心を見つけたから、活動をはじめたのでしょう。

 

 

心の安心からはじまる

 

もう一組は、お母さんの方がなんと、去年僕が別の保育園の講座にいったとき、職員として入っていた先生。

その時の講座の話に共感してくださり、今回は母親として自分のお子さんを連れてきてくれたのでした。

 

当時、
「うちの子は、最近は絵を描いたり工作をするのが好きじゃないみたいなんですけど、今日の話を聞いたら、

園では周りの評価を気にして、臆病になっているのかもしれないって思いました。」
と心配していたママ先生。
その後は、市内の別の保育士研修にも参加してくれて、今回は三回目、ついにお子さんも一緒の参加となりました。

 

では、心配していたお子さんはどんな感じだったかというと、

作る、

 

 

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作る、

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相談がウソかように、とても楽しそうに作っていました。
お母さんもその姿を、とても嬉しそうに、驚いて見ていました。

 

***

 

なぜ、彼は夢中になって作っていたのか。
それは、彼がこのワークショップが面白そう!と思ってくれたのはもちろんだと思うのですが、
もう一つの理由は、心の安心を感じてくれたからだと思います。

 

心の安心というのは、

どんな物を作ってもいい、

失敗してもいい、
「変なの」「なにそれ」っていわれない、
もっとここを~したほうがいいよっていわれない、

 

そういう表現に対する安心という意味です。

 

彼は、このワークショップの雰囲気から安心を感じ取り、
「ここならやってみよう!」と思ったから、作りだしたのだと思います。

 

帰り際、お母さんが小さな声で教えてくれました。

 

「わたし、この子があんなに楽しそうに作ってる姿はじめてみました。やっぱり作るの好きだったんだ。きてよかった。」

 

親子ともに笑顔いっぱいで帰っていきました。

 

***

 

子ども達というのは、大人に比べれば知識や経験は圧倒的に少ないものです。
ですから、モノゴトの判断の材料が大人からみれば少ない、時にあぶなかっしいと思うのも当然のことでしょう。

 

しかし、判断の材料が少ないからといって、それがそのまま判断する力、考える力をもっていないことになるかといったらそうではありません。
子ども達は自分の知識と経験と感性をフルに活用して、自分で判断し、行動しています。

 

その力を存分に発揮して、動きだせる土台、、

安心。

 

子ども達の心の安心、身体の安心、どちらも大切にされる中で、
のびのびと育っていってほしいと思います。

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